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新創傷治療のご紹介

当院整形外科 早川武憲医師
による新創傷治療の講演会の模様が足立朝日に掲載されました。

(足立区体育協会主催 2005年3月5日)

皆さんは傷の治療法について、どうお考えでしょうか?

従来の治療法
  • 傷が化膿しないように消毒しなければならない。
  • 手術後の傷は消毒しなければならない。
  • 傷が化膿しているから、毎日こまめに消毒する。
  • 傷口は絶対にぬらさない。
  • 早く乾燥させてかさぶたを作る。
  • すりむき傷や火傷などは、しっかりガーゼ覆う。
  • 傷が痛いのは当たり前だから我慢する。

当院整形外科の新しい治療方法をご紹介いたします!

新しい治療法
  • 傷は消毒しない。傷の化膿は別のメカニズム。
  • 傷はドンドン洗う。化膿の予防にもなり、治癒を促進させる。もちろん、手術後の傷も洗ってしまう。
  • かさぶたは作らない、なぜならかさぶたは、傷が治らないときに出来る細胞のミイラ。
  • ガーゼはあてない。はがす時何よりも『痛い!』から。

ビックリしましたか?でもこれが正しい治療法なのです。

まず、傷が化膿するメカニズムからご説明しましょう。

『傷口にバイ菌が入ると化膿する』というのが今までの治療法の原点になっていますが、この場合、組織1gあたり10万個から100万個の細菌が必要になります。スゴイ数です。通常健康な人で、これほどまで細菌が増えることはほとんどありません。しかし、創面に異物や壊死組織を混在させるだけで、なんと組織1gあたり200個の細菌で簡単に感染が成立します。つまり、異物や壊死組織が無ければほとんど化膿しないということです。ココで言っている異物とは、縫合糸や皮(カサブタ)、木のささくれ、血腫(皮下に溜まった血液)などを指し、特に有機物質は絶好の感染源になります。したがって傷口を皮(カサブタ)が覆っていたり、木のささくれが刺さったまま放置していると、非常に感染しやすいことがお分かりいただけるかと思います。

次に消毒について説明します。

消毒薬の殺菌力は細菌だけでなく生体細胞全般に分け隔てなく効力を発揮します。従って、細菌を殺すと同時に新しく出来てくる細胞も殺してしまいます。そこでどうするかと言うと…『水で洗い、異物を除去し感染(化膿すること)を防ぎ、新しい細胞が出来やすくする。また、傷口が乾燥してかさぶたが出来ないように閉鎖する。』 傷口を覆うには、専用の被覆材を使用します。ガーゼと異なり傷が乾かないので交換するときでも創部にくっ付かず、『ベリベリッ! 』ということはありません。傷口における「グジュグジュ」は傷が治ろうとする体の働きです。生物は海から生まれその細胞も水を欲しがっています。かさぶたは、乾燥してミイラになってしまった状態というわけです。乾燥させないから痛くなく、短期間で治るという訳です。

膝の擦過傷の症例です。

受傷後当日の創部
痛々しいですね。真皮層に至る傷で上皮化するには時間がかかり、何より消毒はしみて、ガーゼ交換は痛くて大変そうです。

1週間後の創部
新しい治療法では、1週間でこんなに上皮化が進み、しかもほとんど痛くないんです。もちろん処置の時にもです。

熱傷、切創、やけど、裂傷、挫創、褥瘡(床ずれ)、といった外傷に対して治療を行っています。

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